第124章

病院の廊下。行き交う看護師たちは、示し合わせたように二人の男から距離を取って通り過ぎていった。

背丈はほとんど同じ。顔立ちも似通っていて、兄弟だと一目で分かる。

なのに纏う空気は正反対だった。片方は沈着で冷ややか、片方は荒削りで目を引く美形。

耳打ちし合う声が、あちこちで小さく弾む。二人の仲は明らかに険悪で、今にも火花が散りそうだったからだ。

「……あの二人、殴り合ったりしないよね?」

「たぶん……しない、はず」

……

田中尚哉は田中辰哉をまっすぐ睨み据えた。けれど田中辰哉は終始、淡々としている。尚哉は苛立ち紛れにネクタイを乱暴に引いた。

「田中グループ、最近いくつも新規案件...

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